ひじぴー

美女と野獣のひじぴーのレビュー・感想・評価

美女と野獣(1991年製作の映画)
3.5
この年になって,初めて本作を見たが,30年近く前の作品と言うこともあり,アニメーション表現という点ではやや古さを感じる.挿入歌も,昔にディズニーアニメという感じでやぼったく聞こえる.
近年のディズニー映画のヒット作である「アナと雪の女王」は,大ヒットしたあの「レット・イット・ゴー」だけでなく,多くの曲が心に残り,アニメーションの美しさもトップレベルである.
翻って,本作は「アナと雪の女王」に比べると,アニメーションとしてのやぼったさがあることは否めない(もちろん公開年が違うことは承知の上だ).「アナと雪の女王」と同様に,多くの歌のシーンがあるが,一つ一つのシーンがかなり長く,思わず早送りしそうになった.
しかし,脚本になると,その評価は一変する.「美女と野獣」は,ストーリーが分かりやすく,先の展開が完全に読めてしまう.しかし,野獣がベルに心を惹かれていく様子が丁寧に描かれている.醜い野獣とハンサムで町の英雄であるガストンとの対比も良い.
主題が曖昧で,シーン展開に丁寧さのない「アナと雪の女王」と比べると,物語への引き込まれ感と,最後は応援したくなるキャラクターへの感情移入については,本作は段違いに高い.映画を見終わった後の,満足感は圧倒的に「美女と野獣」の方が上だ.
挿入歌については酷評してしまったが,公開年を考えるとフェアな評価でなかったかもしれない.ただ,その中でも主題歌「美女と野獣」については,別格である.本作を,不朽の名作としているのは,やはり,この主題歌あってこそである.あのダンスホールでのダンスのシーンは,視聴者の心の中で残り続けることになるであろう.