細田守監督らしい作品で面白いなと思う一方，見終わった後に，結局この映画，一体何だったんだろうと，釈然としない感もある．
4歳の男の子が，家の中庭でタイムスリップするという設定だが，釈然としないのは，結局中庭で起きていることが，タイムスリップなのか，それとは違う夢の世界なのかが，はっきりしない点である．最初は，未来の妹がやってきて，それなりにつじつまの合う話なのかなと思っていたのだが，途中から未来であっても現実世界とは全く異なる異空間に入り込んでしまう．子供って，こういう恐い夢の世界って見るよね．とも思うのだが，それなら最初のもっともらしい過去→未来へのつなげ方はいったい何だったんだと思ってしまう．
それと，異空間での出来事は，まるで悪いことをしている人に対しての罰のように見えてしまうのだが，4歳の男の子に良いも悪いもなかろう．わがままであって当然だし，親に甘えて当然．ただ，この異空間では，何かこの子が悪いことをしたお仕置きをくらっているように見えてしまう．この設定は，大人の勝手なしつけ方法を押し付けられているようで恐い．主人公が10才なら，このお仕置きも，まだ分からなくはないが，それでも脚本はしっかり作り直さないとだめだ．また，男の子が未来や過去に行った時に，4歳にしては，しっかりしすぎており，現実世界の時の主人公とのギャップが大きいところも気になる．
結局，この映画を通して言いたかったのは，ご先祖様って大事だよねということなのか，子供って成長していくよねっていうことなのか，家族を大事にしようねっということなのか．どれを伝えるにも，筋が通っていない．
子供って，こういう夢を見るよね．それがスタート地点なのであるならば，四の五の言わず，4歳の男の子の冒険活劇にすべきだったと思う．
