さいとう

ヤンヤン 夏の想い出のさいとうのレビュー・感想・評価

ヤンヤン 夏の想い出(2000年製作の映画)
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„物事は1+2のようにとてもシンプル“

台湾の中流家庭の家族それぞれに起こることが丁寧に描かれる。
人は無意識に足掻いてときに苦しみながら日々の生活を送るけど、本当は自分で物事を複雑に捉え過ぎているだけだ。

ローカルで、極めて個人的な物語だけど、とても普遍的でもある。

台湾と東京の少し湿ったような夜景や高層ビル群が車に反射するシーンと、親子の青春がリンクしているようなシーンがめちゃくちゃに好きだった。
観る人の経験や世代によって、近くに感じる登場人物は全く違う気がする。
今の私にはティンティンがとても愛おしい。

タイトルにもなっているヤンヤンは、相手を正面からしか見なければ真実の半分しか見えないと思って、人の後ろ姿ばかりを撮影する。
達観しているようで、純粋無垢な彼が見る世界はとても優しくて、救われる。

約3時間という長めな作品だけど、無駄な時間が一切なくて、必要不可欠な長さであることが凄い。余韻が溢れる。
映画館で観れて本当によかった、、

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ゲーム関係のIT会社を営むNJは、典型的な台湾の中流家庭として平凡な生活を過ごしていた。義弟の結婚式当日に同居していた義母が倒れ、家族のそれぞれにも変化が生じ始める。