GreenT

イン・ザ・カットのGreenTのレビュー・感想・評価

イン・ザ・カット(2003年製作の映画)
1.0
フラニー(メグ・ライアン)はニューヨーク・シティの国語教師。ある朝、登校前に生徒の一人と地元のバーで会い、トイレに行くと暗闇でおフェラをされている男を見る。男は手首にスペードの3のタトゥがあるが、顔は見えない。

夕方帰宅すると、マロイという刑事が聞き込みに来る。フラニーのアパートメントの裏の庭で女性の死体の一部が見つかったと言われる。マロイにスペードの3のタトゥを見つけたフラニーは、夜寝るときにマロイのことを思いながらオナニーする。

マロイ刑事はパートナーのロドリゲス刑事と執拗にフラニーを追いかけ、最後デートに誘う。フラニーは妹のポーリーンにそれを言うと、ポーリーンは服と靴を貸してくれる。

デートでマロイは「お前のためには何でもする。クンニもする。暴力は働かない」とかって口説くが、そこにロドリゲス刑事が現れると男同士で飲み始め、その上「女性蔑視」的な発言をし始めるので怒ったフラニーは一人で帰る。

帰り道暴漢に襲われたフラニーは、マロイに電話してきてもらう。そして二人はセックスする・・・・。


・・・なんか色んなことが起こるのだが、全部セクシャルに誇張され、どーでもいいことに長尺使って、殺人事件は一向に進まないし、フラニーのキャラクター成形も深まらないし、フラニーとマロイ刑事の関係もなんだか良くわからない。

これってジェーン・カンピオンなのね。『パワー・オブ・ザ・ドッグ』はめっちゃフェミニストだったので、これもそうなのかな?と思ったらそうらしい。サイコ・スリラー仕立てにしてあるけど、殺人事件は「男の目に晒されて常に身の危険を感じて生きている主人公」のバックグランドで、しかも「そういう男を嫌いながら危険な男に魅かれてしまう女性」を描いているらしい。

まあ~マロイ刑事役のマーク・ラファロが笑う。鼻の下にフレディ・マーキュリーみたいなヒゲ生やしちゃって、あとあのセリフ!!あまりにもクンニが上手いのでフラニーが「誰かに習ったでしょ」って訊くと、年上の女に教えてもらったらしいのだが、この話(笑)。

あと、ケヴィン・ベーコンが、フラニーの元カレで、しつこく追いかけまわしてきたり、なんかちょっとメンヘラ的な?このキャラ要らねーって思ったけど、このキャラと、マロイ刑事、ロドリゲス刑事、なんかこの辺出しておいて「犯人は誰か」って感じなんだろうけど、だからと言ってクレバーにそっちに向かって昇華していくストーリーでもないし。

あんまりダラダラしているから2時間の映画なのに3時間くらいに感じる。

フリー・スピリットな妹を演じるジェニファー・ジェーソン・リーは良かったな。でもこのキャラもエピソードがつまらな過ぎる。妻子持ちの医者に執着して出禁になった?とか。

あ、あと、マロイ刑事がフラニーとデートしているのに「殺人事件のことが頭から離れない!」って言って「私とキスしている時も?・・・」ってガッカリするフラニー。とか思ったら、3度目の殺人が起こった後は「君のことが心配で、事件に集中できない」とか言う。単に無能な刑事なのか、お前!

で、赤い灯台が何度も出てくるので、あれは「いきりたった男根」のメタファーなんでしょうけど、だからなんなんだ!って使われ方しかしてない。

こういう「だからなんなんだ!」っての多くて、フラニーのお母さんがお父さんにスケートリンクでプロポーズされたって嘘の話をするってのが、ご丁寧に劇中劇で語られる。これは「フラニーが結婚を理想化している」とかってウンチクがウィキに載ってたけど、「フン」って鼻で笑いたくなる。

あとフラニーは気になった言葉をポストイットに書き留めておく癖があるんだけど、これも「自分の運命を思わせるような言葉を良く見つける」とかってウィキに書いてあったけど、劇中で起こっていることと関係ないしなあ。それに、なんでいつも地下鉄の広告に有名な詩人の詩とかあるんだよ?しかもフラニーって国語教師でインテリなのに、地下鉄の広告に感銘を受けるの?本読まないの?

も~雰囲気だけで何も語らない映画であった。
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