次男

オアシスの次男のレビュー・感想・評価

オアシス(2002年製作の映画)
4.6
なにか手に負えない大きなものに包まれて、ひたすら、もうひたすらに涙が出て、感嘆するばかりだった。風邪をひいてノンフィルターな心にこの感動はダイレクトに突き刺さって、嗚咽が出るほど泣いた。
クライマックスのあのシーンは、人生で何度味わえるかの感動で、一番好きな種類の感動だった。

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クライマックスで散々涙して、そのあと迎えたラストシーン。暖かい日差しの中、部屋の埃まで美しく輝くコンジュの部屋。このシーンの美しさに、そしてこの映画の徹頭徹尾の勇敢な堂々たる姿勢に、「あのクライマックスを観て尚、自分がこの映画を捉え間違えていた」ことをまざまざと痛感し、感動は方向を変えて、より愛すべき結論で、じんわりと心に残った。この映画で、かなしい涙を流しちゃいけないんだ。

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コンジュの部屋のファーストシーンの、壁に当たった光の演出。駅のホームの、最高のラブソング。ふたりで食べるジャージャー麺。映画としての美しさっていうのは、視覚的なものだけじゃない、うん、この映画を美しい映画と呼ばずに、なにが美しいんだろう。
映画を観終わったあと、このシンプルなジャケット観て、また涙がこみ上げてくる。



こんな映画に、一生で何本出会えるかなあ。
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