竜平

アモーレス・ペロスの竜平のレビュー・感想・評価

アモーレス・ペロス(1999年製作の映画)
3.9
ある3つのストーリーが時折交差しつつ同時進行で展開していく、オムニバス形式のメキシコ産ヒューマンドラマ。アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥの監督デビュー作。

この後のイニャリトゥ作品である『21グラム』や『バベル』の原点のような、2作品を足して二で割ったような印象。時間軸の異なるストーリーが交わりつつ、やがて別々の結末に向かう。共通して描かれるのはなんともじめじめとした人間関係、兄弟や家族や愛人との摩擦、そしてそこに必ず関わってくる「犬」の存在。それぞれのエピソードは一癖も二癖もあって、そこで生きる人たちが抱えるどうにもならない葛藤、煮え切らない感情みたいなものに見入ってしまうこと請け合い。上映時間の長さとテーマの多さに、少し体力や集中力のいる内容と言えるかも。なんとなく裏テーマみたいなものも詰め込まれてそうな雰囲気。少し重めに、じっくりのんびり映画を楽しみたいって人にオススメしたい。

ガエル・ガルシア・ベルナルはこの映画がデビュー作とのことで、この頃から光るものを感じる。関係ないけど、怪我して流血してる犬とかあれらはどーやって撮影してるんだろうとかそんなことばかり気になってしまった俺がいた、とさ。
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