三畳

百万円と苦虫女の三畳のレビュー・感想・評価

百万円と苦虫女(2008年製作の映画)
4.0
ちょっと自分みたいな映画があった。…こんなことアラサーでやってる自分。

新卒で勤めた会社を退社して燃え尽き症候群になっていた私は、反動でモラトリアムしたくなって半年間青森に住み、ゲストハウスの立ち上げを手伝いました。
そのあとケルトの楽団を主催し(もう人に譲った)、思い付きで短期の専門学校に入ってひと冬で資格を5個取り、今年4月に個人事業を始めました。一日2時間しか働かないと決め、先月100万収入を達成。
今年は扶養内でいないといけないからあと2ヶ月は勉強にあてたり何かにお金を使います。フリーランスという言葉にまとわりつくイメージが嫌いだから就職できたら辞めるけど。

この映画の主人公鈴子ちゃんも携帯持ってなくて、私も大学のときそうだった。
社交的ターンと引きこもりターンを繰り返して、私は今グループLINEにひとつも入れられていない。家族以外でLINEする人も年に1回以下。

何にも所属しない身になってみると、人付き合いが苦手だからこそ仕事くらいは長く継続した方がいいと思う。組織の中では役割こなせば人に構われるんだから。
でも当時はそういう絡みがうっとおしくて、深くわかりあえないなら意味ないって思ってしまった。

距離の詰め方が極端だと言われる。
その人以外が地獄だから、常識的な範囲で親切にしてもらったくらいで、簡単に信頼して前科まで語ってしまう鈴子ちゃんは、まだ結果的に恋だったからよくて、
私は恋じゃなくても恋人と話すようなことを何でも本当は喋りたい。期待しすぎる。親しくなるまでの段階を踏めない。
友達の作り方は恋愛の手順と違うらしい。彼氏は途切れないのに友達との縁は簡単に途切れる人生だった。

プラマイ5歳を同年代の人々と呼ぶなら、多少挙動がおかしくても初セッションに失敗しても、まだ理解しあおうと興味を割くリソースの余裕のある時期は過ぎたと感じる。ジャッジが早い。世間話すら弾まなきゃそれ以上の仲に進むことはないです。それがとてもつらい。

周りを見てると普通の人と人は自然に縁を結びたがるから、数か月で住まいを転々とする暮らしは人と縁を結ばないひねくれた芯が必要。これに憧れて実践してみた映画女子がいたらもっと泥臭い現実か普通にFacebookに載せれる感じの感動的な出会いと別れを送ったことでしょう。私はこれ今日初めて観たので天然でやってのけた苦虫女です。
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