円柱野郎

ウホッホ探険隊の円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

ウホッホ探険隊(1986年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

妻と二人の息子と、単身赴任の夫。
夫が単身赴任先での不倫を告白したことから、妻は悩み離婚の決意を固めていく。
干刈あがたの同名小説を原作にしたホームドラマ。

“離婚”がテーマだけど、そんなに泥臭くない。
まあセリフの端々に肉体関係を意図する言葉が入っているけれど、場の空気を読んだギャグ(シュールとまではいかない)になっているので、その辺のセンスは面白いとは思う。
また、中学生と小学生の息子たちが母親の神経を引っ掻き回すところで微妙にハラハラするが、空気を読んでいたり読んでいなかったりする二人の年齢設定はいいね。
ただ全体的には案外理性的に踏みとどまっているので、コメディというよりはシリアス寄りなのかな。

日本人の家族構成が核家族化し、さらに“父親”という存在が家にいないという当時の現代性を描いているという点では興味深い。
でも、良い家族を演じているような、お互いの関係性の表面的な感じが個人的には見ていて歯がゆかった。
淡々とした印象もあるし、野球選手とロック歌手のくだりは、意図は分かるけど個人的にはいまいち。
もう少し家族内のところで突き抜けても面白かったと思うけども。

夫役は田中邦衛。
不倫はしているけど悪い人間ではなさそうな雰囲気や、たまに“父親”として家族の中にいる時の微妙なよそよそしさは何とも言えず、上手い。
状況に耐えながら、健気に前向きに離婚する妻役の十朱幸代も達者。
ストーリー上はこちらが主人公ですね。
円柱野郎

円柱野郎