円柱野郎

猿の惑星/キングダムの円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

猿の惑星/キングダム(2024年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

前作から300年後。
主人公の若きチンパンジー・ノアが人の血の付いた毛布を見つけたその日、彼の村はエイプの軍隊の襲撃を受ける。

前シリーズからの続編だけど、前作から作品内の世代を隔てているので作品としては新シリーズという扱いかな。
でもシーザーの存在感は伝説として未だ残っているので、前3部作でシーザーがどの様な生き方をしたのかは知っておいたほうが良いかも。
でも、主人公のノアは何も知らないところからその世界の成り立ちを知っていく…という流れなので、前作を観てなくても観客はノアとともに色々なことを知る過程を共有できるようにはなっている感じ。
そういう意味ではこの構成はよくできていたと思う。

キーとなる人間の女性を最初"ノヴァ"と名付けるのは前作のオマージュかな。
それはそれとして実際にはメイという名の知性のある人間なわけだけど、喋れなくなった人類の中で何故喋れるのか、何が目的か?が話のキーになっている。
観ている間は「実は第1作みたいに宇宙から帰還した宇宙飛行士だったりして?」なんて思ってみもしたけど、さすがにそこまで過去作のオマージュにはしなかったかw

本作の悪役であるプロキシマスは、かつて存在した人類の力を手に入れようとしている"キングダム"の王。
でも彼は絶対悪ではないよね。
エイプの王としては、かつて人類が支配者として君臨していたことを知っているからこそ人間を信用しないし、逆説的に人類の力を手に入れてエイプという集団を強靭化しようとも考えているわけで。
そういう意味では、メイが(エイプにとって)真に信用できる存在なのかという部分と併せて作品テーマを深くさせている様にも思う。

エンディングで知識を保ったままの人類集団の存在が示唆され、これから先、ノア達エイプとどう関わることになるのかが気になるところでもある。
人類集団とエイプは相容れることはできるのだろうか。それとも打ち解けることはないのだろうか。
プロキシマスが人間を信用しなかったように。
円柱野郎

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