てづか

ソナチネのてづかのレビュー・感想・評価

ソナチネ(1993年製作の映画)
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「もう疲れた。死にたい。大事なもんもだいたい無くなったし、死ぬわ」っていう映画なんだなと思った。鑑賞後に人から解説を受けたこともとても影響しているけど、とにかく「死にたい」っていう気持ちはすごく伝わってきてたし共感もした。

きっと、アウトサイダーとしてヤクザの世界でならと思って入った世界だろうに、その世界でも表の世界と余り変わらず金と規則と裏切りばっかりで。
そこに死が直結していることしか違わなくて、でもそれはそれなりで弟分のこととかは可愛く思ってるし、大事なものが無いわけじゃないから簡単にも死ねない。

理想と現実の乖離で苦しんでるのは語られなくてもなんとなく感じる。
それはその男凶暴につきでも感じてたものと似ているなあとも思ったりする。

観ていてやりとりはすごく楽しいし、単純に面白いし、演者それぞれがとてもいい顔をしていてみていて飽きない。

沖縄の美しい海とか青みがかった…というよりもうほとんど青!!って感じの画面がすごく良くて、引きの画が(構図なのかな?)とにかくずっとカッコイイなと思った。

あんなに晴れた空の下で痛いほどに青く澄んでいた海が、後半にはどん曇りで澱んだ感じだったのが印象的。それも退廃的でカッコイイなと思ってしまった。

銃撃戦をカットしまくって女の子とのやりとりに繋げる感じも素敵。

ただ、自分の映画のみかたがまだ全然なってないというのもあり、ただ単に感性が貧弱というのもあり、拾いきれなかったところも沢山あった。

なので、今の時点では3-4x10月の方が個人的には好き。時が経ってみかえしたときにどう思うかは分からないけど。

ロマンチックを信じたい心とは裏腹に、どこまでもドライな描写が、観ているこっちのいろんな想像をかき立てる。
そんなところに奥深さみたいなものがあるのかなあとも思ったり。

色んな思いが籠ったバカヤローがたくさん入れられてたと思うんだけど、女の子が穴に落ちて呟いたバカヤローが個人的にはすごく好きだった。
あれはちゃんと好きだよって気持ちが伝わってきた感じがした。

それでも一緒にならないところが切なくもありいいわよねと

あと、これは鑑賞後にも話したことでもあるのだけど「あんまり死ぬの怖いと思ってると死にたくなっちゃうんだよ」はこの映画を象徴するセリフに思えた。

【追記】

2回目みた。

1回目よりも、もっと恋愛映画としてみることができたとおもう。

待っていて欲しいし待ってるのに、会わずに死んでしまうところが切ないけどロマンチックでもあった
てづか

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