せーや

地球に落ちて来た男のせーやのレビュー・感想・評価

地球に落ちて来た男(1976年製作の映画)
4.2
拝啓デヴィッド・ボウイ様。
ようやく故郷に帰ることができましたね。
故郷の惑星での暮らしはいかがですか?


アメリカの田舎町。
湖に突然、宇宙船が墜落する。
乗っていた宇宙人は実業家トミーと名乗り、
当たり前のように生活している。

思えば中学生のころ。
洋楽にハマりだした僕の目に飛び込んできたのは
Aladdin Saneのジャケットでした。

彼の歌は今までに聞いたことの無いサウンドで
時代の二歩三歩先を行く音楽でした。
それなのに、どことなく懐かしく感じる曲もある。
そんな多彩なボウイに惹かれました。

ボウイが表舞台から姿を消して久しい時にファンになり
2013年、突然のアルバムリリースに
長年のファンのように歓喜し
そして2016年1月8日の3年ぶりのニューアルバムに、
ようやくボウイと同じ時代を歩めると心躍らせたのに
2日後に彼は逝ってしまった。


この映画はボウイが
ジギー・スターダストで世界的な地位を確立し
ヤング・アメリカンで地位を不動のものとしたあとに
製作された、そんなボウイ絶頂期の作品。

老化のカケラも感じられない30歳のボウイ。
もちろんビジュアル的にも最高なんですが
問題なのはそのストーリー内容ですよね。

宇宙人と地球の女の子の恋
故郷と女性の間で揺れる男

そんなことをテーマにした悲しい物語。

しかし画的には所見だとそんなもの感じさせないほど
クレイジーでカルト的な作品に仕上がっています。
急にブッ飛んだり謎のフラッシュバックが入ったり
まあ、70年代ということでニューシネマの影響もあるんでしょうか?
いやいや、ボウイの方が先ですからね。

1回目はとにかく「????」な映画。
しかし2回目で意外とストーリーがあることに気づく。
ボウイの繊細な演技は俳優顔負け。

「孤独な一人の男」の物語。
ラストが何だか素敵です。


アルバム「ジギー・スターダスト」の中に
有名な「スターマン」という曲があります。
まるでこの映画を、デヴィッド・ボウイという男を
表しているかのような一曲です。

スターマンは死んだんじゃない。
故郷の星に帰っただけなんだ。

There's a starman waiting in the sky
He'd like to come and meet us
But he thinks he'd blow our minds
There's a starman waiting in the sky
He's told us not to blow it
'Cause he knows it's all worthwhile
せーや

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