Mikiyoshi1986

地球に落ちて来た男のMikiyoshi1986のレビュー・感想・評価

地球に落ちて来た男(1976年製作の映画)
3.8
ジギー・スターダストことデヴィッド・ボウイが火星に還って今日で早一年。
ミュージシャンであった彼が本格的な俳優活動をするに当たり、彼ほど適役だった作品は他に無かったかも知れません。

「美しき冒険旅行」のニコラス・ローグ監督が世界的ロックスター・ボウイを異星人役に大抜擢し、現代アメリカの大規模市場の在り方に切り込んだ異色の英国SF映画。

当時29才だったボウイの美貌は正に絶頂期にあり、元祖ビジュアル系エリイアンの代表格として彼を越えるほどの存在はあり得ないだろうと明言しておきます。
どんなコスチュームもかっこよく、美しく着こなすエレガントさ。もう痺れます!
ボウイのおティンティンも拝めちゃうしね。

家族を残した故郷の星へ帰還する為、アメリカで財を成した彼はやがて女の快楽に溺れ、主食に当たる水の摂取も次第にアルコールに侵され、莫大な利権に群がる輩によって彼の目的は阻まれていきます。
金を持つことで陥ってしまう享楽的な側面を揶揄し、
世界大戦以降逆転してしまった米英のパワーバランスにより、英国人の米国に対するやっかみに近いコンプレックスも炸裂。

本作で描かれる「地球に落ちて来た男」は、地球に"堕ちて"しまった男の悲劇を綴った叙情詩とも云えるのです。
ボウイよ、永遠なれ。
Mikiyoshi1986

Mikiyoshi1986