わたふぁ

麗しのサブリナのわたふぁのレビュー・感想・評価

麗しのサブリナ(1954年製作の映画)
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子供の頃から憧れていた人はいつまでも遠い存在。やっぱりどうも叶わぬ恋だとわかったサブリナは、2年間、パリで料理の修行をする。しかし失恋で沈んだままの心では、スフレはうまく焼けないんですね。。あぁ、この世に“恋煩いのせいで上手く焼けないスフレ”があるなんて!なんとも可愛らしい傷心の表現です。

そんな、品がありつつ洒落ていて軽妙なワイルダーの笑いが作品の至る所に散りばめられている。ジバンシィによるドレスも、ただ可愛い、ただゴージャスではなく美しさの中にユーモアがある。それを着こなすオードリーも、ただ品位のある美女、というだけに留まらず、茶目っ気があって、しっかりエンターテイナーだ。

次男デイヴィッドに対し、ずっと叶わぬ恋心を抱いていたサブリナ。
2年のブランクを経て、サブリナの美しさにやっと気付いたデイヴィッド。
2人の相思相愛を知りつつ、その美しさに深く恋をしてしまった兄ライナス。
どちらの恋が実るのか、あるいはどちらも実らないかは最後の最後までわからないけど、この恋を経て、3人が3人ともに大きな心の変化が起きているのが面白い。

譲ったり、認めたり、頑なな意思をほどいたり。立ち向かうばかりでなく、流れに身を任せてみたり。はたまた、これも勇気がいることだけど、自分の気持ちに正直になってみたり。
結果がどうであろうと「恋」は人を成長させるもの、ということですよね、ワイルダー先生。