♪ 言動が言動を呼ぶ その瞳で
現象の真相を読め Come Of Age
なんとも食指が伸びない邦題ですよね。
過剰に長いタイトルが流行っている我が国では確実に見送り案件。“一山いくら”のワゴンに埋もれるのも当然なのです。
でも、これが掘り出し物。
ジワリと綻んで、リアリと驚いて、ニヤリと笑える物語を探しているならば「手に取らない理由は無い」と胸を張って言える作品でした。
但し、序盤から面白いわけではありません。
正直なところ「これは外したかも」と思いました。「笑いのツボがズレている」とも思いました。「この作品は誰に薦められたっけ?呪ってやる」と思ったかは…内緒です。
しかし、気付けば沁み込んでいる主人公の人柄。もうね。ニヤニヤが止まりません。婚約者との会話なんて涎が垂れるほどに面白いのです。いやぁ。良いわあ。続編がないことを呪いたくなるレベルですわあ。
しかも、布石の置き方が憎いくらいに素敵。
“瀟洒”とは、この脚本のことを言うのでしょう。「あら、こんなところに牛肉が」と言いたくなるほどの“飛び道具”感も大好物。この尻上がりに盛り上げてくる演出も最高です。
まあ、そんなわけで。
新米弁護士《ビニー》の奮闘を描いた法廷コメディ。脚本の妙を味わいたい人には諸手を挙げてオススメできる作品です。
…が、期待値の目盛は最小にした方が吉。
そうすれば、ヒーローが窮地から立ち上がるようなカタルシスが味わえる…かも。
ちなみにヒーローと言えば。
現行の『スパイダーマン』シリーズでセクシーな叔母さんを演じたマリサ・トメイの出世作です。本作撮影時は20代後半。まさにセクシー爆発。思わず目尻が下がるのは確実です。
最後に余談として。
本作を知ったのは荒木飛呂彦先生がオススメしていたから。やはり“見る目”が違いますねえ。序盤が面白くないから呪ってやる…なんて口にしたらバチが当たりますな、ホントに。ぐは。