つかれぐま

運動靴と赤い金魚のつかれぐまのレビュー・感想・評価

運動靴と赤い金魚(1997年製作の映画)
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🇮🇷イラン映画。
タイトルの「運動靴」はすぐに出てくるが、なかなか出てこないのが「赤い金魚」。ラストシーンを記憶に残してくれる素晴らしい邦題だ。

子供が細い路地を全力疾走する姿が印象的だ。劇中主人公の父が「9歳はもう子供じゃない」と家業を手伝わせるシーンがあるが、子供に普通の「子供時間」を与えることは親の義務だよな。

近代化の遅れや封建主義といったイスラム文化の負の側面だけでなく、礼儀正しさや清貧という正の側面もフェアに見せる。頻繁に文字を書くシーンが登場し、珍しい<左←右>向きで書かれるアラビア語を世界に向けて紹介する。イスラム圏女性の着用するスカーフといえば(フェミ文脈では)とかく悪く言われがちだが、本作の少女たちのまあ可愛いこと・・。

ラストのマラソンは手に汗。
「3位になれ」「いや、いっそ1位に」と観てる方の気持ちが揺れる展開が面白かった。3位は1位よりも難しい、という結果がなんとも示唆に富んでいる。