イホウジン

キャスパーのイホウジンのレビュー・感想・評価

キャスパー(1995年製作の映画)
3.2
“売れる”要素のパッチワーク

今作は誰でも安心して観ることができる映画として成立している反面、そのほとんどがデジャブと化してしまったという残念な一面もある。
人間から(理不尽に)恐れられるお化け、弱かった登場人物が強くなっていくストーリー、しょうもない欲望に駆られた敵、友情、夏休みの自由研究みたいなメカ、などなどのこれなの要素がこれでもかと投入されるのが今作だ。そのどれもが物語の一部分として成立してくるので構成は意外と凝ってる映画なのかもしれないが、いかんせん今作に“固有な”ものを見いだせない。唯一あったとすれば序盤にキャスパーが他の先輩(?)幽霊たちの下僕として働いている場面だ。あの場面だけ見れば「シンデレラ」にも近いものがあり、まさにシンデレラストーリーのような映画をお化けを用いながら描けそうだった。しかしその要素は中盤に入ると完全に忘れられ、一切の言及もなされぬまま映画が終わってしまった。仲直り的なシーンがないことを顧みると、おそらくこれは意図的なものであり、あえて追及を避けることで予定調和なハッピーエンドをもたらそうとしたのかもしれない。(だったら最初からあんなパート入れるなとは感じるが。)

今作は“普通に”面白いとは思うが、特段印象に残る映画とは言い難いものがある。故にレビューもここ最近の中では短めだ。
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