「夢の終わり」を見せつけてくる映画。
最初から最後まですべてが不穏なので、観ているこっちが体調悪くなりそう。
VFXに頼らずにカメラワークと早回しの技巧だけで表現した狂気は、低予算だからこそ成し得たのかも。
俳優陣たちの渾身の演技は圧巻で、メアリーバースティン演じるサラをはじめ、登場人物がまるで別人かのように堕ちていく姿は、本当に心が痛くなる。
実は彼女たちはもうすでに再起が難しいところまで差し掛かっていて、本作はそのトリガーを引いただけなのではないかと思えてきてしまった。
というのも劇中では、彼女らに声を掛け、助言し見守ってくれるような社会との関わりがほとんど描かれてないからだ。
テレビの出演依頼だって、そもそも妄想なのではないかと思えてしまう。
それでも、彼女にはちゃんと友人がいて、心が壊されてからも会いに来てくれていたことがせめてもの救いか……。
一点、ジェニファーコネリー演じるマリオンが、ただ薬に溺れていく女という点でばかり強調されていたのが残念だった。
もともとかなり聡明な女性なのだと思わせる描写はあるものの、あれではただ巻き込まれるだけ巻き込まれたヒロインという印象が拭えない……。