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らせんのhoteltokyoのレビュー・感想・評価

らせん(1998年製作の映画)
4.0
監察医の安藤は、ある日、変死した友人・高山の解剖を担当する。死因は心不全。解剖が終わり、安藤は胃の内容物に「不審な物」が混ざっていると報告を受ける。その紙片には、暗号らしき数列が書かれていた。暗号を不審に思った安藤は、高山が死の直前に記者と共に「見ると死ぬ呪いのビデオ」の調査を行っていたことを知る。だが、安藤は仲間の医師と共に調査に乗り出す的な『リング』の続編的物語。

人の伝染する呪いに焦点を当てた『リング』に対して、この『らせん』は医学的観点から呪いが伝染するメカニズムに焦点を当てた内容になっている。なので原作でも前者よりもやや分厚い内容になっているので、『リング』は読んだが『らせん』は読んでいない人も多いかも知れない。ただ、今こうして『リング』がジャパニーズ・ホラーの金字塔として今も語り継がれているのは、今作の肉厚で骨太な背景の上に成り立つ“呪い”を描けていたからだと思う。

『リング』でも原作を2時間に収めるにはやや無理があるようにも思えたが、今作は更にそれを感じる部分はある。だけどそれでも、貞子という者がどれだけ人智を越えた存在なのかを感じ取ることは出来るはず。

そして、「呪い」という現象について、ここまで科学的に迫った作品は自分が知る限り、世界的に見ても今作だけだと思う。ここまで練り込んだうえで『リング』を作り上げた原作者の鈴木光司は天才だと思う。ホラー好きだけでなく、今や誰でも名前を知る貞子の原点がここにある。

余談だが、映画監督は『ナイトヘッド』を撮った飯田譲治監督。なので、映像のジャリっとした感覚や常に曇りがちな色合いにナイトヘッドみを感じて、どこか懐かしい気持ちになる。
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