純

マイ・フレンド・フォーエバーの純のレビュー・感想・評価

4.5
とっても綺麗な映画。内容も映像も美しくて、永遠なんて存在しないんだっていう儚さと、それでもずっと忘れない、思い出という形での永久性が描かれているように思った。

さらっと言えば、HIVにかかっている引きこもりがちな少年デクスターと母と溝のある思春期頃のエリックの友情物語で、きっとこうなっちゃうんだろうな、ってわかっていながらも泣いちゃう、そんな作品だったな。とにかく2人のピュアな感じとか、大人ぶっていてもまだ子どもなんだってところとか、冒険の先に夢見る場所があるって信じてる素直さとか、キラキラした子供時代が本当に印象深かった。あの頃は何もかもが輝いて見えたし、何もかもが新鮮で新しかったなあ、なんて思い出してた。

HIVなんて、子どもたちにとっては重要じゃない。遊びたいから遊ぶし、友達を選ぶのは親じゃなくて自分だよね。育ちが良い子とかクラスの人気者やリーダーと仲良くなる義務なんてないし、弱い子だからだめなんて、そんな馬鹿げた理論、絶対存在しない。周りからなんと言われようとデクスターと一緒にいる時間を作るエリックは、言葉にこそしないけど本当にデクスターのことが大すきで、一緒にいるのが楽しかったんだね。

この物語ではエリックとデクスターのお母さんたちが隠れたキーパーソンかなって思う。この2人、本当に対極に描かれていて、後半の会話が本当に涙なしじゃ聴けなかった。母親が子を思う気持ちの強さや愛する気持ちが溢れ出してるシーンだと思う。後半に関して言えば憎い形でこれまでの伏線が回収されててこれもまた泣いてしまうし…!素直にいい話。隠れた名作だなあ。キャストも本当にぴったりでそれぞれの役を見事に演じ切ってるから共感できちゃうし。

人生は思ったより残酷で永遠に続くものなんてないのかもしれないけど、消えない何かも同時にあるわけで、そんな世界だからこそわたしたちは1日1日を大切にできるんだろうね。綺麗な気持ちになりたいときに、ぜひ、観てほしい。
純