一夢

コレクターの一夢のレビュー・感想・評価

コレクター(1965年製作の映画)
3.5
100Marksすると、シロクマくんが教えてくれるのか!
蝶の標本作りが趣味の内気で気弱な青年が、勇気とクロロホルムを出して、歪んだ愛情を押し付ける ハートレスラブロマンス。GTOの勅使河原先生と言い、昆虫採集好きな青年=ヤバいみたいな風潮は何なのだろうか…。ファーブル博士も草葉の陰で泣いておられるぞ。

ひょんなことから大金を手に入れた銀行員の青年が、気になっていた美大生の女性を拉致し、自分を理解してもらおうと愛情を込めて監禁するストーリーだが、監禁ものにありがちな暴力・暴行は一切無い(クロロホルムはセーフ)。それどころか、相手の女性を一つの芸術品のように、尊敬の念を持って扱っているということを強調して、時には優しさすら見せてくる。

作品冒頭は牧歌的で優しげな音楽と不安を煽る音楽が交互に流れるが、青年の挙動と、精神的なブレを見事に暗示させていると思う。「あれ…こいつ良い奴かも?」→「駄目だ…こいつには話が通じない…」という波の強弱に女優も観客も面食らうはずだ。

僕は、君のこういう所が好きなんだ。これは純粋な愛なんだ。それを何で理解してくれないんだ??という姿勢が前面に押し出された狂気の演技は迫真に迫っていて、終わり方もサイコじみていて良かった。ミザリーのような話が通じないタイプも怖いが、こういうタイプも怖い。少し方向性の変わった吉良吉影だ。
一夢

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