一夢

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎の一夢のレビュー・感想・評価

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)
4.5
「全く救いのない映画」とだけ聞いていたのですが、予想以上に救いがなくて笑ってしまいました。「便りのないのは良い便り」という言葉もあるように、死ぬシーンの描写がなければ「ワンチャン生きているかも…」と、視聴者に判断を任せられるのですが、「清々する」を通り越すレベルで具体的な最期の連発で、一周回って爽快さすら生まれました。

現代のアニメーション技術で描かれる昭和30年代は、正直「綺麗すぎる」と感じる部分もあるのですが、それを覆い隠すような尋常でない「タバコ社会」の描写が良かったです。
地元の有力者によって歪められた村社会と、親族たちの運命が、手塚治虫の怪作『奇子』との共通点を感じさせました。

アニメ『鬼太郎』シリーズは4期が直撃世代で、5期〜6期は「萌え路線に走った」という世論に共感する節もあり、全く通ってなかったのですが「6期の絵柄でこの救いのない話を作る」という構成が素晴らしかったです。
水木しげる氏の過去の漫画作品や鬼太郎アニメに対するオマージュも節々で感じられ、今後も作品としての『鬼太郎』のクオリティは安泰だなと感じました。
というか「妖怪」という概念がなくならない限り、「鬼太郎」というコンテンツが無くならないのは本当に強すぎませんか??

2回目も劇場で観たい作品。
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