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ノートルダムの鐘のriyouのレビュー・感想・評価

ノートルダムの鐘(1996年製作の映画)
4.8
聖域ノートルダム、パリの非合理。その聖音をパリ中に響かせる奇形の男カジモド。ジプシーのエスメラルダのような外からやってきた人々が、非合理である点で揺るがないパリを、まさにその非合理のためにズラしてきた。そしてパリの男フィーバスは非合理をカジモドに押し付け、それを少しずつエスメラルダがズラしてくれることで、活躍できる。フロローもそうだしカジモドを笑ったパリ人たちもそうだ。ノートルダムの鐘の下にパリの奇形を押し込めて生きている。そしてパリに入ろうとして弾かれたたくさんの人々の骸骨が地下で支えてくれてパリは生きている。お前らだって奇形だろう!お前らだってこの世に流れてきて流れ去る骸骨だろう!
最後彼らは気づいただろうか。静かにパリを支えているたくさんの人々の存在に。きっと鐘の音を聴くたびにちゃんと思い出すだろう。
しかし光を浴び外に出られるようになったカジモドはまた鐘のところへ戻っていくんだ。あれを鳴らせるのは彼しかいない。
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