Eryyy678

ノートルダムの鐘のEryyy678のネタバレレビュー・内容・結末

ノートルダムの鐘(1996年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

ディズニーが時折見せる、ダークな世界観。この作品は、それが凝縮させていると思う。

ジプシー狩りを行いながら、ジプシーの女性に心を奪われてしまうフロロー判事。その矛盾に苦しみ、しかし神にも背くほど欲望に忠実なフロローの姿は、今にして思えばかなりリアル。
ジプシーの子どもであるカジモドも殺そうとしていたが、司祭に咎められて、一応育てていたりと、典型的な「悪人」とは言い切れない複雑な人物像。

Hellfire(罪の炎)を熱唱するフロローは、妖しい魅力があり、神に背いた彼は、ジプシーであるエスメラルダを選んだ。だがエスメラルダはフロローを選ばない。そしてフロローは自分を惑わした「魔女」として、彼女を火あぶりにしようするが、カジモドの助けもあり、彼女は難を逃れる。フロローは、大聖堂に逃げ込む彼女達を追い詰め、遂には始末しようとする。

神の怒りに触れたフロローは、最終的に命を落とすことになるのだが、神が彼に罰を与えたのは何故なのか。フロローが、カジモドやジプシーを殺そうとしたからか、あるいはジプシーを「選んだ」からなのか。
エスメラルダは、フロローを惑わしたが、フロローは神の名の下の「正しさ」にも縛られていたのかもしれない。

とにかくダークな世界観なんですけど、その暗さを乗り越えた先にあるエンディングが、やはりディズニーとしての安心感がある。万人受けする作風ではないかもしれないけど、深い作品だと思います。
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