わたもち

第9地区のわたもちのネタバレレビュー・内容・結末

第9地区(2009年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

意図せずも昨日観た『グリーンブック』に続き“差別”が題材の作品。

大学時代に観て、「世に蔓延するベタなエイリアン襲来地球滅亡系映画かと思ったらそうじゃなかった!最後まで結末が読めない!これは面白い!! 」と興奮した本作。久しぶりの鑑賞でしたがやっぱり面白い!!


▼ストーリー
ある時急に現れた謎の宇宙船。そこに乗ってたエビみたいなエイリアンはなんでか皆体調絶不調で人類は彼らを保護し専用の居住地に住まわせる。それをまた別の居住地に移住させることになり、冴えない平凡マン ヴィカス(主人公)はそのプロジェクトの担当となる…


▼設定の斬新さ
アメリカの上空に巨大宇宙船ぷかぷか、「ハイハイいつものエイリアン襲来モノね~」なんて思ってたら、まず舞台がアメリカではなく南アフリカ?とその珍しさに興味を抱く。
しかも人類はエイリアンたちに居住地を与えている。ほう、なにそれ面白い🤔

エビ型エイリアンが住まうスラム街、それが第9地区。
まあたしかにこんなんが近くに住んでたら嫌だわな~なんて思うわけです。

この設定、南アフリカでかつて行われていた黒人差別のアパルトヘイトが題材で、実際にケープタウンで起きた第6地区からの強制移住政策がモデルらしい。
黒人をエイリアンに置き換えてる分、生々しさは減り、娯楽作品として観やすくなっているのに加えて、観客サイドにエイリアンが人間以下の(差別されても仕方ない)存在だと無意識のうちに思わせる非常に危険かつ秀逸な設定。



▼ヴィカス・ショー
ある意味、主人公ヴィカスの人生を追いかけた『トゥルーマン・ショー』ならぬヴィカス・ショー。
初っぱなから、ドキュメンタリー調で事態の背景からキャラクターまでべらべら喋って説明してくれるから分かりやすい!大変助かります!

このヴィカスってのが本当にどこにでもいる平凡で人間味しかないザ・人間の中の人間って感じでとても良い。イケメンでも天才でもブッサイクでもなく、絶妙にポンコツなフツーなおっさんなのが没入を捗らせる。だからこそ、彼の人生に心動かされてしまう。



▼まさかの胸熱クライマックス
それ要る?なロボットアクションも盛り込みごちゃごちゃしてる印象は否めないがクライマックスは本当に胸熱。

まさか、冴えないおっさんと🦐エイリアンという誰得なコンビの約束にうるっとさせられるなんて…
いけ!いくんだ!エビ…!!泣



▼その他雑感
*フツーに英語話すエイリアンたち。ジュニアの声かわいすぎ。てかあの親子聖人すぎるって。

*たらりーん鼻から黒い液体~

*外国人がよくやってるイメージだけど、夫婦のラブラブな留守電の自動応答音声かわいい。やってみたい(やらない)



▼結論
個人的には大好きな作品。
でもエイリアンの造形気持ち悪いし人間の醜さが割と全面に出ちゃってる胸糞要素も多少あるので苦手な人は少なくないかも。好きな人はとことん好きだと思います!僕はめっちゃ好きです🦐🦐🦐



▼余談
低製作費ムービーらしい。
主人公ヴィカス役はなんと監督の高校時代の友人で台詞もアドリブというのだからびっくり。
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