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容疑者、ホアキン・フェニックスのsmithmouseのレビュー・感想・評価

3.3
「I'M STILL HERE」
ダークサイドに堕ちたトム・ハンクスみたいなホアキン・フェニックスの極め付けの奇行。

いきなりの俳優業引退とラッパーへの転向発表、それが巻き起こす様々な反応を撮った「ドッキリドキュメンタリー」。全部嘘だった訳で。

言われてみれば嘘くさい。
あからさまな「元ハリウッドスターの転落人生」を見せようとしてくるところは、観客の観たいものを解って見せて来てる感じがする。

芸能レポーターの質問には質問で返し、トークショーでトークしない、好き放題振舞う「嘘」の映画で問い質した自分の周りの世界の真実。そこに黙って順応出来ないところに夭折した兄と同じ天才しか持ち得ない「繊細さ」を感じる。
才能があるんだかないんだか分からないたどたどしいラップのリリックも洗練されていないからか本心なんだかそうでないんだか。

取り敢えず事情を知らない「被害者」とは言え、他人の映画にも関わらず笑わせにくるベン・スティラーのイジリの上手さも味わえる、笑ったつもりが嗤われていた映画。
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