マルメラ

ニキータのマルメラのレビュー・感想・評価

ニキータ(1990年製作の映画)
2.8

想像していたのとかなり違った。
リュック・ベッソンで女殺し屋。
バンバン撃って、うぇーい!!
みたいな映画かと思っていたら割と地味。

映画として面白く作ろうとしてる部分は分かる。でも嫌い。
というのが正直な感想。

何故嫌いかの前に、この映画のどこを面白いと思ったのかをストーリーに沿って語っていきますね。

まず、冒頭の薬屋襲撃。
ここで、仲間を警察に殺され孤独になった主人公。
まぁここの描き方も少し雑な気はしますが。
例えば、死んだ仲間に寄り添う主人公に警察が優しく話しかけると、いきなり頭を吹っ飛ばすとか。
この主人公がこの仲間達にどれだけ依存していたかを描かないと、今後の孤独を演出できないと思います。

死んだことにされ、政府の裏仕事をやらされることになる主人公。
ある意味で「キングスマン」にも近いかな。
この訓練シーンも個人的には微妙。
主人公が能動的に訓練をしている感じがないために、この主人公が本当に成長しているのかわからない。

新しい名前を与えられて、外の世界に戻る主人公。
ここからの流れは割と良かったかな。
やっと誰かと繋がることができたのに、その相手に対して秘密を守り続けなければならないという葛藤。
この葛藤は見てて楽しかったです。

しかし。
任務を与えられても、「え?それだけ?」と拍子抜けし、主人公自体も何か満足感が得られていないような雰囲気を出しておきながら。
部屋に戻るとウキウキハッピー。
なぜ?恋人の元に戻れたから?
だったら、満足感が足りない気がするが、部屋で彼の顔を見た瞬間に自分の生の喜びが顔に出る。
みたいにした方が良かった気がします。

そして、ベニスでの暗殺任務ではバレるかバレないかサスペンスなどで退屈しないように工夫も見られる。

なんですが。
やっぱり、ここで主人公の暗殺任務に対する満足感を演出するべきだった気がします。
仕事を上手にこなせた自分に対する満足感や達成感を不謹慎にも感じてしまい、その自分に嫌気がさすみたいなさ。
普通の女の子なりの葛藤が作れたはずなんです。

そして、最後。
ここが大嫌い。
というのも個人的にはヒステリック女が死ぬほど嫌いで。
泣きわめく女と騒ぎ立てる女を見るとイライラが止まらないんです。
ジャン・レノが出てきてから、もうイライラが止まらない。

ジャン・レノが「任務を途中で投げ出すことはできない」みたいな美学語ってますけど。
いや、そもそもロシアの大使館に侵入した時点で、見つかったらアウトだから。
見つかった時点で任務失敗ね。
最善の策は、拷問されて情報を喋ってしまう前にその場で死ぬか。
全力で外まで逃げろ!
以上。

代案としては。
彼女自身が「任務を途中で投げ出してはいけない」という思いでいる。
なぜなら、政府から「任務を続けなければ彼氏を殺す」みたいな脅しをかけられている。というのを前の段階で入れておくんです。
だから、最悪の状況でも主人公だけは任務を続けたがる。
案の定、上手くいかず逃げだそうとするジャン・レノ。
それでも、主人公は任務を果たそうと努力する。
逃げ出したジャン・レノに注意が引きつけられ逃げ出すことができた主人公。
この逃げ出すシーンは訓練の時のレストランから逃げ出した件を上手く利用すると、主人公が偶然ではなく、自分の力で逃げ出した感じが出るので、その方がいいかと。

で。家に戻ってきてからの流れは同じ。

主人公は任務を果たすことで彼氏と繋がりを保ちたかったのではなく。
あのボス的な男の人との繋がりを求めていたんだと気づく。
でも、こんなに孤独な自分を愛してくれた彼氏に罪悪感を感じて。
どちらともくっ付かずに一人逃げ出すことにする。

どうでしょう?
ヒステリック女が泣き喚く最後の30分より、この方がスッキリしませんか?ww

そして、手紙。
あの手紙の件は凄い良かったです。
長々とナレーションとかでやらずに、「破り捨てたよ」の一言で、手紙の内容をこちらが想像できて、彼女の気持ちを奪った男への血の通った台詞になっていました。

まぁ、リュック・ベッソンらしく穴が多い映画ではあります。
そもそも、一般人のアホ丸出し女に政府の仕事やらせるわけないだろ。とか。
どんな訓練だよ!とか。
ルームサービスに行くだけの任務wとか。

酷評みたいなレビューになってしまいましたが。
それでも、このなんとも言えぬ悲壮感漂う映画の感じが好きという人がいるのも、理解できる。っちゃできる。

個人的には全然好きではありませんし。
映画の構成的にも理路整然としない部分は多いですが。
そこまで悪い映画ではないとは思います。

「LEON」と違うのは主人公達の行動原理や目的がはっきりしていないことです。
ここが最大の違いで最大のミスだと、個人的には思いました。

「LEON」のマチルダは親の仇を討ちたいから、訓練を受ける。(能動的)
「ニキータ」はやらないと殺されるから訓練を受ける(受動的)
簡単に言うとこういう違いです。

何かをやらされてるのを見て、楽しいと思う人は少ないかと。
やっぱり主人公が能動的に動かないと。

困った状況になり仕方なくっていうのは人が困ってるから楽しいんですけどね。
ここらへんのさじ加減が難しいんですが。

断然「LEON」派のレビューでした。
マルメラ

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