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再会の時のSPNminacoのレビュー・感想・評価

再会の時(1983年製作の映画)
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友人の葬式で再会したかつての仲間の群像劇。1本の電話、次々動き出すキャラクター、ズボンを履きネクタイを締めスーツを着たその腕に傷跡。台詞でなく、そんな冒頭のカットバックで旧友の死をさらりと物語るのが巧い。また、場面ごとの挿入曲はさりげなく時代を遡っていき、久しぶりに集まって過ごす数日間を彼らの青春時代の曲が彩る。そして他愛なく戯れ合うエピソードの断片が、パズルのようにほろ苦い人生模様を形作っていく。はぐらかして触れるのを避けても、それぞれの人生に欠けたピース、今この場所この時間に欠けたピースがある。それを象徴するアレックスの不在。
演出や脚本構成が既に古典的王道というか、「同窓会映画」のお手本だ。けれど、アレックス含め過去から現在の「何故こうなったか」という説明などないのが良い。誰かに訴えるでもなく仲間内だけで共有する感傷、分かち合うひと時の“Big Chill”、それ以上は見せずに終わるラストの切れ味がまた心憎かった。ケヴィン・クライン、グレン・クローズ、トム・ベレンジャー、ウィリアム・ハート、ジェフ・ゴールドブラムら錚々たるキャストがみんな若い!更に、まったく顔を見せないアレックスがケヴィン・コスナーだとは。
(自分たちを「まるで80年代の映画みたい」と言及する)2014年のジェシー・ズウィック監督『アバウト・アレックス』は、明らかにこれを下敷きにしてあるとわかった。
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