レオピン

マイ・プライベート・アイダホのレオピンのレビュー・感想・評価

3.8
盗んだバイクで疾走する二人 
特に、BLとかゲイ映画というふうには見えなかった。

公開時フェニックス21歳、キアヌは27歳
フェニックスはエージェントに黙ってノーギャラで出演したとか。

撮影はインディペンデント映画らしいスタイル。役者に任せてあとは自由にやらせる。こうでなければ型にはまるのを何より嫌うマイクとスコットのキャラクターは造れない。ラブシーンは静止画風の映像で見せる。微妙に動いているところが面白い。

マイクの母への愛情の飢えはとても痛々しい。兄と思っていた人物は実は本当の父だった?
唐突なラストは『イージー・ライダー』のようにも見えるが、それともやっとおうちに帰ることが出来たの?

魂の彷徨 さすらいの末に還るべき場所へ還る
こんな映画若いときに観ておかなくっちゃいけない。これはやっぱり優れた青春映画だ。

と同時にまったく違った感想も、
あれはマイクの見ていた夢だったんではないかしら。スコットとはボブの葬式の時に初めて会った。そこから彼のイマジネーションの中であのような交歓があったのでは。

スコットという何もかも自分と対称的な人間、彼はマイクのひとつの理想像だったのではないか。あるいは路上で睡眠発作に襲われたときに見た夢だったのだ。あれは「邯鄲の夢」だ。

ストリートキッズにしては彼らの衣服がちっとも汚れてないんだもの。ボブでさえも小綺麗すぎる。ちょっとそんなふうにもみえてしまった。

彼ら、インタビューを受けていたキッズたち(男娼)のダイヤのような瞳。仲間に向ける眼差しは優しく草食動物のように煌いていた。ポートランドの廃ホテルには彼らとよく似た犬たちが飼われていた。彼らは誰も傷つけられない。あのまま年をとるのだろうか。
 
大人はハンスをはじめ個性的な客たちが登場する。あの3人の若者を相手にしないと燃えないというおばさんはまだかわいい方。よく分からないのがあの綺麗好きのおじさん、少年がピカピカに床を磨いている姿を見て興奮するってどういう性癖なんだ。
ウド・キアーは姿を見ただけで「あ、この人はホンモノ」と判別出来るのが素敵でしたね。

⇒関連作品:
シェイクスピア『ヘンリー四世 第1部』『ヘンリー四世 第2部』『ヘンリー五世』、『オーソン・ウェルズのフォルスタッフ』 
小説 John Rechy「City of Night」、ケルアック「路上」
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