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かくも長き不在のnagashingのレビュー・感想・評価

かくも長き不在(1960年製作の映画)
3.5
アリダ・ヴァリの眼力に牽引される視線の映画。はじめ彼女の視線に気がつかなかった男は、やがてその熱いまなざしに耐えきれず逃げ出すが、矢先に住民たちからの視線の集中砲火を浴びる。見ることの暴力性=主観の押しつけがショック療法的に失われた記憶を呼び起こす皮肉。挙げた両手の影が磔台の十字架を象る劇的なクライマックスにシビれる。縦横に豊かに広がる立体的な構図や鏡の反射を用いて、視線が向かう空間を贅沢に担保する画面構成とカメラワークも気持ちいい。
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