1967年の岡田喜八監督による傑作戦争映画。
1945(昭和20)年8月14年ポツダム宣言受諾から、玉音放送が流れる8月15日正午までという「日本近代史における最も重要な1日」を史実に近い形で映画化したものだ。
戦後20年しか経っておらず、当時を知る多くの人が存命であったこともあり、本作にはその時の空気感が克明に描かれている。
幾人かの人物の熱狂や覚悟、結末などから失われた時代ははの残響が肉感を帯びて迫ってくる。
今ではもうフィクションとしてしか通用しない世界が現実だったことが確かにあったのだ。
それと同時にこの話はそれらの敗北と変化への初めの、本当に全てを始める一歩を描いている。
「今日は日本という国の葬式だからな」という台詞が持つ重さが心にドンとのしかかるのを感じる。
作ってくれたことに本当に感謝しかないとても大きな意義を力強く、儚く、愚かで、希望と失意とともに魅せてくれる傑作である。