まるみ

ナースのお仕事 ザ・ムービーのまるみのレビュー・感想・評価

2.2
2002年公開作品なのでほぼ20年前という事になる。この20年で日本のテレビドラマも、コメディのあり方もかなり変わり、ここで観られるようなコメディ演技・演出のドラマはほぼ絶滅した。90年代頃の所謂ザ・フジテレビなテイストのコメディである。

それにしても今作の全方位的なタガの外れ具合は凄いものがある。
冒頭の夢オチ導入なんかはこの手のドラマ(映画なんですけど)平均だとしても、
そこに続く、観月ありさと神田うのによる往年の新春かくし芸大会ぐらいでしかお目にかかれないクオリティのダンスと寸劇を謎のロングショットで撮る、という場面の異質さは前衛的ですらある。これは映画なのかドラマなのかコントなのかオフショットなのか、何を観ているのか一瞬分からなくなる。

しかしこの2人のまるでカートゥーンのアニメキャラのような変幻自在でリズミカルな表情筋(今なら顔芸と簡単に言われてしまうか)や律動の素晴らしさと作品への見事な適応ぶりは、
芝居を要所で引き締める松下由樹と吉行和子のペアとの両翼として今作を推進していく重要な役割を担っている。

それは彼女たちの現実ばなれした等身、スタイルのせいだけではなく、その芸能活動(神田うのなんかは谷桃子バレエ団に在籍していたダンサーである。身体能力が鈍な訳がない)の中で培った確かなテクニックによるものである事は言っておかなければならない。
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