まるみ

もっと超越した所へ。のまるみのレビュー・感想・評価

もっと超越した所へ。(2022年製作の映画)
3.5
今作はコメディとして分かりやすく相手のクズさを描いてるから、ここまで酷くはないにしても若い頃って相手の許せない部分に潔癖になってしまいがちで、勢いでスパッと切ってしまって後悔する事あるよね。

意外と時間が経って何とかなっちゃう事とか、お互い言い合って直したり折り合い付けていける事も沢山あったんだよな、って段々気づいてくる。
これ別に何でも妥協して飲み込んで上手くやってこうやって話でも、恋愛や結婚(もっと言えば人間関係)ってそうやって成立させていくもんでしょ、なんてもっともぶった話じゃ全然ないんですよね。

えっ、別に今ここでハッキリ白黒つけなくても、ちょっとしんどい時に手つけられる…壁?とかあったら今は助かるかな〜ぐらいの気持ちで一緒にいたらダメですか?っていう。

もちろんガチでそういうスタンスって事ではなくてあくまで『一旦飲み込む瞬間』の気構えとしてね。
そういう意味でお米や地震の例えはめちゃくちゃリアルでした。『イヤイヤイヤイヤ、今ひとりになるよりはコイツといた方がまだ全然マシ』

人の気持ちも生活もグルグル変わるんで、そういう瞬間もあれば『この人と死ぬまで一緒にいたい』って思う瞬間もある。ずーっとどっちかなんて人生ありえないんだから。

もちろん絶対許容しちゃいけない事とかつっぱねなきゃいけない事もあるのは前提としてね。それも人それぞれの尺度があるし。

ご時世的に女も男も他者を尊重してしっかり線引きして、悪癖は治して自立してナンボ。みたいな価値観が多勢の中、たまにはこういうズルズルッとした感じを肯定してくれる作品もいいなあと思います。どっちもあっていいと思うんです。
当面、自分で自分を許せるやり方で、傷つけたり傷つけられたりもたれ合ったりしながら各自なんとかやっていこう。グッドラック。
まるみ

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