みかんぼうや

私は告白するのみかんぼうやのレビュー・感想・評価

私は告白する(1953年製作の映画)
3.8
気づけば約1年ぶりのヒッチコック作品。

平均★3.6とヒッチコック作品の中では決して高い点数ではなくレビュー数もかなり少なめでマイナーな部類に入る作品だと完全にノーマークでしたが、ちぃさんさんのレビューで気になり観てみたところ、かなり面白い!有名&高評価作の「裏窓」や「北北西に進路を取れ」よりも、個人的にはこちらのほうが断然好み。この平均評価と自分の評価のズレもまた、映画鑑賞の面白いところ。

ヒッチコックの凄さは、鑑賞した彼の作品数が増えるほどその凄さを実感できるところ。それはつまり、これだけたくさんのサスペンス映画を創りながら、一つひとつの設定が本当にユニークで、映像は似ていても、似たような設定や展開がほとんどないということ。まだ10本程度しか彼の作品を観ていないが、よくもまあサスペンスというジャンルだけ追究し続けてこれだけバラエティ溢れる設定が思いつくな、と。

本作は、神父という罪人の告白を秘密にしなければならない職業の人間が、殺人という最も重い罪の告白を受けてしまった、という設定だけでもう十分に面白い。神父としての神に誓った自身の使命感ゆえに殺人犯の正体を秘密にすることで、結果として自分が不利益を被ることになっていくというパラドックスをサスペンスとして仕立てあげるこの巧さ。

個人的に、ヒッチコックの人気作は、 “見せ方”が面白い印象が強いなか(「裏窓」や「サイコ」など)、本作は見せ方は意外とオーソドックスだが、その分、物語の展開が純粋に面白かった。

ヒッチコックはマイナー作品でもやはり隠れた名作が多くまだまだありそう。あまりの作品数にどれを観るかが迷いどころだが、皆さんのレビューやオススメを参考に、これからもどんどんヒッチコック作品を開拓していきたいと思います。
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