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テレーズ
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『テレーズ』に投稿された感想・評価

3.5
新文芸坐でのアラン・カヴァリエ特集にて。事前知識無しで見に行ったが、とても作家性の濃い芸術的な映像表現に驚いた。カヴァリエ監督はルイ・マル監督の助監督からキャリアをスタートさせ現役で映画を撮り続けているとのこと。

1897年に結核で亡くなったリジューのテレーズの手記を元にした作品で、彼女の生涯が描かれる。16歳の若さで教皇に直談判するほどの熱意でカルメル修道会に入り、そこでの生活を送る中、病気が発覚してしまう。

「ドッグヴィル」の様な灰色のセットで撮影されており、明かりも少なくレンブラントの絵画のような印象を強く受けた。そんな生気がないような背景の中心にはテレーズという明るい少女が配置され、そのギャップが印象的だった。大寺眞輔さんの解説では、監督が尊敬するルノワールとブレッソンの止揚的表現とのことで腑に落ちた。

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「奇妙な旅」

アラン・カヴァリエ監督の1981年の映画で、作家性が強く出たシネアスト期の作品とのこと(55-68演出家期、76-91シネアスト期、93-フィルマー期)。先週の「テレーズ」とは打って変わって情緒にあふれ、とても楽しく見ることが出来た。

ピエールは高齢の母をパリに呼んだが行方不明になってしまった。彼女の住むトロワで列車に乗った事が分かり、線路を歩きながら母を捜索する旅に出る。ピエールには分かれた妻との間にアメリーという娘がいて、その旅に同行することになる。

「スタンド・バイ・ミー」的な死体を探す旅ではあるものの、見つかってほしくないという感情も強く複雑だ。そして過食症を患う娘との関係が強く描かれていて、静かに理解し合う感じがとても良かった。アメリーを演じているのは監督の実の娘で、監督の私的な要素が詰まった作品らしい。それを知らずとも感動できる普遍性がありとても好きな作品だった。

⭐️3.6 2026.10.23 @新文芸坐

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「リベラ・メ」

アラン・カヴァリエ特集もこれで最後だ。制作順に「奇妙な旅(81)」「テレーズ(86)」「リベラ・メ(93)」と並んでいてこの時期の作家性が堪能できた。特に本作はバキバキに尖りすぎていて、いまいち内容が掴めなかったので、大寺眞輔さんの解説がありがたい限りだった。

全編台詞無しのセット撮影で、ソリッドな雰囲気が漂う。とある独裁政権下の抑圧された人民が映され、レジスタンスの存在も示されていく。レジスタンスの家族と、それを支える別の組織もあるようで、偽造パスポートを作ったり武器を揃えるなど計画を進行する様が連続していく。

監督いわく、抵抗についての映画ではなく、抵抗の映画ということで、わかりにくいのも織り込み済みのようだ。それを支える設定などは書籍になるほど作り込まれているようで、簡素で尖った実験映画の域は超えている。終盤、死んだレジスタンスに鈴の音を聞かせる新世代の登場し、エンドロールでもこの音が流れるのが印象に残った。

⭐️3.5 2026.10.30 @新文芸坐
これまで観たアラン・カヴァリエ監督作3作品をレビューしたい。その経緯は後程まとめる。

本作「テレーズ」は一見奇妙な演出で、背景のセットや余計な照明、大げさな演出を徹底的に排除し、絵画のような静謐な映像空間の中で登場人物の表情や仕草を際立たせる独特な演出スタイルとなっている。このスタイルは後の私生活を作品にするスタイルに生かされ個人的には崇拝する監督の一人である。

この奇妙な演出スタイルは、カヴァリエ監督の私生活と密接に絡んでいる。本作においては、カヴァリエ監督の実の娘であるカミーユ・ド・カサビアンカが脚本を共同執筆となっている。テレーズをリアルに演出するため、監督志望の当時20代の彼女のキャラクターを新鮮に描いている。

余談になるが、この父と娘の関係性が面白く、カヴァリエ監督の前作で絆を築いていたことも特筆すべきなのでまとめておく。前作1981年作原題『Un étrange voyage(直訳:奇妙な旅)』で主演女優として、24歳の彼女の仕草や表情を納めた列車で失踪した母をレール沿いに探すロードムービーを撮っている。このストーリーは実際にあった事件を元にしているが、ややこしい事にカヴァリエの妻(カミユーユにとって実母)が1972年に鉄道事故でなくなっていることもモチーフとしており、事件の再現とカミーユとカヴァリエのドキュメントが合わさった独特のドキュメンタリー風ロードムービーとなっており興味深い作品に仕上がっていた。

個人的に「テレーズ」より「奇妙な旅」を先に観ていた。そのきっかけとしてゴダールとデュラスの対談集「ディアローグ デュラス/ゴダール全対話 」で「奇妙な旅」の完成前の情報から、父娘の関係を近親相姦の物語にできず「残念な作品」と評していたことから改めて観ることとしたのだが、感銘を受けた作品だったので逆にその2人が残念な人に思えてきた(笑)崇拝する監督ですが、三人三様といったとこでしょう。

さらに余談になるが、カヴァリエ監督の娘カミーユ・ド・カサビアンカはその後、2005年に発表した私小説的ドキュメンタリー映画「LE FILMEUR」に登場し、リアルの結婚式を撮られている。この作品の中でも、派手な演出を徹底的に排除し、静謐な映像空間の中で登場人物の表情や仕草を際立たせる独特な演出スタイルが生かされており、ホロリとしてしまった。
本作を含めて3本とも全く違うジャンル映画だが、スタイルは一貫しており、個人的には娘との三部作と位置づけたい。

また、個人的には先に書いた亡くなった妻の日記をあつかった2009年の「Irène」も推したい。ノート、古い写真、手紙、衣服、ブラシなどの「遺品」をカメラが静かに映し出すし、それらと対話するかのよう。
菩薩
3.9
キリストは俺の嫁、じゃなくて私はキリストの嫁的な厳格な修道会に入った乙女が結核で死んでいくってだけのシンプルな話なのに妙に面白いし、こんなニッチな映画が国内映画賞総ナメは流石に意味が分からん。簡素なセットに演劇じみた演技であるが特に序盤はワンカットワンカットがサクサク進む為ちゃんと映画らしくなっているし堅苦しさも無い。自らの信仰心を試すかの様に重病であるにも関わらず治療も受けずに苦難をただ苦難そのものとして受け入れていく狂信性、毎度の事ながら信仰とは何か救いとは何かなどさっぱり分からんが、そう言う禁欲的な姿勢に心動かされる層がいるって事なのかしらん。修道女は最初の30年がしんどい→そりゃそやろ過ぎて笑う、死にゆく者にまた違った思いで視線を向ける者、血の混じった痰を秘伝のタレ感覚でペロリするのは流石に肝が冷えたが、その強烈な同一化願望こそを愛と呼ぶべきなのかもしれない。

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