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機動警察パトレイバー THE MOVIEのTrueRyのレビュー・感想・評価

3.7
名作と名高いパトレイバー劇場版Ⅰ/Ⅱ、これまでどちらも見る機会がなく気になっていたのと、運良く劇場公開があったので贅沢にも映画館で鑑賞。

パトレイバーは原作とTV版を少しかじった程度、押井作品は攻殻系を中心にみていたが、本作も細やかなライティング、カメラアングル、抑えた雰囲気の中での重厚感、そしてよいBGMと押井作品らしさ、を随所で感じた。

作品のメインは工業用レイバーが謎の暴走を始め、その要因と、その過程で浮かび上がった狙いを成就しようとするE.HOBAとの対峙、という形で進む。

社会問題になる前に彼らが察知し、地道で泥臭い捜査からそれを阻止しようとする行動、お偉方を前に丁々発止のやりとりをうまく自分のフィールドと結論へ導く後藤隊長の”切れ者”感など、まるでこの後の9課を見ているようで思わずニヤリ。展開もSACや攻殻を思い起こす所が多く、これがベースとなっていたのか、とオリジナルを見つけたような高揚感を感じ、ある意味2度楽しめたかな。

中身もレイバーのOSと、そこに潜むBug?ウィルス?、ネット社会の前兆、高度成長期の闇、などをこの時代で描いており、公開当時の衝撃たるや、凄かったのだろうな、と容易に想像できる。

いつも時代の先を行き過ぎて、ポカンとさせる押井作品の印象だが、彼にしか見えない未来像を描き、その未来が限りなく今のリアルに近いのを感じる度に、彼の先見の明に脱帽。

一番のお気に入りは南雲隊長の敬礼シーンです。
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