普段ホラー系はわざわざ映画館で見ないのだが、なんとなく気になったこの作品をサンサン劇場で鑑賞。
実際にヴァチカンに存在した悪魔祓い＝エクソシスト（祓魔師、ふつましと読むらしい）を題材にした、悪魔対エクソシストと書くと陳腐だが、そこに人間味や過去の過ちをからめてホラーアクションファンタジー（ホラー色薄め）として仕上がったこの作品は、私にとってのエンターテイメント色の強い、見てて楽しくなる、いや応援したくなる作品だった。
主演はラッセル・クロウ。LAコンフィデンシャルやグラディエーターではバリバリ肉体派だったが、もはや初老のエクソシスト役がこうもハマるとは（褒めてます）驚きと新鮮さがあった。彼演じるアモルト神父は信心深く、悪魔を祓う確かな力を持った首席祓魔師だが、組織内のくだらないやりとりには皮肉を交えて一刀両断する気持ちの良い人物。その神父の人間性を垣間見るジョークや、茶目っ気がまた彼の魅力を強くさせている。
その彼が、とある修道院に移住した家族に取り憑いた悪魔を地元の若き神父と祓いに行く。
ホントこれだけの映画なんだが、後半に行くにつれてもう目が離せなくなる。少年に憑いた悪魔は明らかに人とは異なるのだがその存在を分かりやすく見せたり表現せず、あくまで人に取り憑いた悪魔、として表現するのが良い。そしてその悪魔に対峙するのは、己の弱さや罪を背負った人間。その弱さをついてくる悪魔に対抗するには、その罪を認め、己に打ち勝つこと。これいわゆる、「悔い改めよ」を地でいく感じ。己を知り弱さを認める、その重要性を若手神父に説きながらも、自身の罪にも向き合う必要がある。
このアモルト神父自身も弱さと罪を背負っている、これが若手神父の罪と対比となり、非常に良い。エクソシストだが、人としてどう生きるか、を悩みながら、悪魔に対峙する。悪魔を題材にしているだけに、この人間面と人間性を重要視したこの展開、結構好きです。
後半はわりとアクション感やファンタジー感が強まるが、ド派手なCGや悪魔が現れるわけではないのに、それでいて悪魔との対峙の内側にどんどん引き込まれる。ストーリーの細かいところはさておき、単純な娯楽作品、として楽しめると思う。
※鑑賞後、実在のアモルト神父を少し検索したが、なるほど、この作品と通ずるキャラをもっているのだな、と親近感わきましたｗ
