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十二人の怒れる男の3104のレビュー・感想・評価

十二人の怒れる男(1957年製作の映画)
3.9
guilty or not guilty.

ご存知名作。


(若干ネタバレ有)



情勢がひっくり返っていき、やがて・・という筋立ての末に提示されるのはカタルシス、爽快感・・



だけではないところがこの映画により陰影を与えている。

先入観や偏見、曖昧な証言や数々の状況証拠に対する反証・・例えば電車の速度やナイフの持ち方、観た映画のタイトルの記憶なども、実のところ陪審員達(の一部)による曖昧な定義や解釈に支えられているのである。終盤に局面がひっくり返ったあと、“無罪派”の人々が残されし有罪派の陪審員に向ける表情だって、あれは同調圧力じゃないかと言われれば決して否定はできない。
更に言えば被告は本当に殺していないのか?作中では描写はないが、もちろんそれは誰にもわからないのである。


陪審員制度の特性と限界を、(結果的に)肯定調で描きながらも、確かなものなどなにもないという事を声高ではなくしかし雄弁に語っているように解釈できてしまう。なかなかに食えない「名作」である。
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