拓風

十二人の怒れる男の拓風のレビュー・感想・評価

十二人の怒れる男(1957年製作の映画)
4.8
裁判員制度、日本で言うと陪審員制度を扱った映画。

少年が起こした殺人事件の裁判で、12人の陪審員の中で一人だけ無罪を主張する。当初明らかだったと思われる有罪という流れが、その一人の疑問から変わって行く。


「人を裁く」とはどういうことか、考えさせられる映画。裁く方、陪審員もまた同じ「人」なので、そこには感情も存在し、偏見や場の流れなども存在する。
人が人を裁くということ、またこの裁判ではその結果によって容疑者の命も左右するので、そこに前述の人の感情などが存在する危うさは、裁判員制度そのものへの問題提起なのかもしれない。

また、当初1人で無罪を主張するヘンリー・フォンダは周囲の流れに逆らって問題提起をし、反対する者を説得していく。その姿はある裁判員のあるべき姿と言える。

終始裁判員が会議を行う部屋のみで話が展開していくが、このテーマ、そして脚本の巧みさだからこそでき得る作品。

三谷幸喜がこの映画をモチーフにして映画、舞台で「12人の優しい日本人」作ったのは有名な話。こちらは同テーマにコメディも織り交ぜた作品で、ぜひ見比べてみてはどうだろうか。

とにかく、見て損の無い映画。

良い物は、時代を超える。
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