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嗚呼!! 花の応援団のblacknessfallのレビュー・感想・評価

嗚呼!! 花の応援団(1976年製作の映画)
3.2
久しぶりに再見。
どおくまんの漫画が大ヒットして映画まで作られたなんて70年代はプリミティブな時代なんだとしみじみ思った。

大学の応援団を舞台にしたドタバタギャグ漫画なんだけど、どおくまんはその画の汚なさ、下品さ、多分、当時の目線でもアナクロなギャグ。本作だと主人公 青田赤道の発する、ちょんわちょんわ~という謎の絶叫、~なのねんのねんという謎の語尾、グエッグエーという怪鳥音。本当にベタとバカのてんこ盛りで、とても青年誌の漫画とは思えなかった笑
自分はオンタイムで読んでないから、その異形性にたまげた記憶がある。
自分の世代だと、どおくまんはちょうど一世代前の漫画でおっさんと色気づく前のガキ相手の床屋や競馬中継かナイターかけながら厨房でタバコ吸ってる🚬おやじがやってるラーメン屋とかにどおくまんが置いてあり、そこでどおくまんの壮絶に企画外の漫画を読んでショック受けた人は多いと思う笑
鳥山明や高橋留美子の洗練された漫画しか知らない少年だったから、これもカレーだからって言われてう○こを出されたような衝撃だった。

映画の本作の方はそのキョーレツなどおくまん性をうまく実写に落とし込みつつ、艶っぽくリリカルな演出の名手である曽根中生監督の作家性が融合して何とも妙な映画になってる。
原作、まともに読んでないからどこまで原作ベースなのかわからないけど、赤道と赤道の父親の愛人(赤道は名家のボンボン)との禁断の悲恋や1年生富山と売春婦とのこれまた悲恋を入れ込こんでいて、前半、応援団特有の理不尽なシゴキ、かわいがりをおもしろおかしく見せながらも段々ウエットな方向になっていく。要するに前半はどおくまん性主導で後半曽根中生イズムが主導になってる。

このバランスが正解なのか失敗なのかよくわからないけど、まあ、ずっとどおくまんノリだと流石にバカバカしくなるから、ウエットな昭和悲恋があるから何か一般的な意味で言う物語のある映画を観た気にはなるからいいのかな?
3作目まで作られてるし正解だったってことか笑
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