ジュライ

カールじいさんの空飛ぶ家のジュライのレビュー・感想・評価

カールじいさんの空飛ぶ家(2009年製作の映画)
3.8
これ、着想は日本の風船おじさんから得たんだろうか? まあ仮にそうだったとしても、借金まみれで空に消えた男がヒントになりましたとは絶対言わないだろうけど。

うまいなと思ったのは、おそらく年配の観客の共感を得るために、他のディズニー作品よりディテールをしっかり積み重ねているところ。
夫婦が二人の夢のために貯金を始めるも、家の修理やらなんやらで想定外の出費が続き、そうこうするうちに二人とも年をとって、いつしか貯金箱も夢を描いたノートも家の隅に押しやられてしまう……というリアリティをさりげなく組み込んでいる。
さらにカール自身も「無口ながらもピュアだった少年が、加齢や妻との死別とともに狷介固陋な頑固じいさんになっている」という現実味溢れるキャラ。

「たとえ補聴器と歩行器が欠かせず、自宅の階段を行き来するのすら昇降機が必要な年齢になっても、夢みることと、それを叶える意志を忘れるな」というメッセージを、変にカッコつけたり捻ったりもせず、ダイレクトに言ってくれるところがディズニーのいいところだと思います。
個人的にも、どうにも最近は少年少女が溌剌と頑張ってる話より、中年以降の人がえっちらおっちら頑張ってる話のほうに心打たれる。
ジュライ

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