matchypotter

告白のmatchypotterのレビュー・感想・評価

告白(2010年製作の映画)
3.5
「法律があなたを守るかも知れませんが、私はあなたを許しません。」
「これが私の復讐です。これがあなたの地獄。これからあなたの更生の第一歩が始まるんです、、、なんてね。」

日本アカデミー賞で作品賞ほか、当時はかなり話題になってた。
結構エグい話と聞いてたので、ちょっと観るのどうしようか、と悩んでたらこんなに時が経ってしまった。

エグい、というか、かなりえぐってくる感じ。

中学校のイジメとか、同調圧力とか、家庭内暴力とか、引きこもりとか、無関心とか、日本国内で、教育として、社会的なテーマを、かなり剥き出しで、感情露わに描く。

「なんで、あの子は死ななきゃいけなかったの?」

最愛の子供を“色々あって”生徒に殺された先生の『告白』から幕が上がる。
すべては、その復讐を遂げるための話。

ではあるのだが、娘が死んだ背景や、殺した生徒、その周りにも“色々”がある。

色々が積み重なり、不協和音となり、連鎖して、繋がりを持ちたがらないことで繋がってる、的な。

ただ、そんな“色々”なんてどうだっていい。
とにかく、娘を亡き者にした生徒憎し。
個人で徹底的に調べ、死因を特定し、犯人を特定するも、それが中学生。
法で裁けない、守られた存在。

それを知るや、今度は徹底的に、個人で追い詰め、“色々”を突き止め、利用できるものは利用し、目的を果たす。

この松たか子のキャラや思想や言動、終始薄暗い学校の日常の風景、そこに潜む問題、そして、誰もがその本質を肌で感じてはいても決して触れにいかない人の弱い部分。

それらすべてを徹底的に描く。
正直、気持ち良い映画ではない。夢も希望もない。

人の本質と言うか。
それはやっちゃいけないことだから誰もやらずに我慢したり、避けたり、立ち入らないように、見ないように、関わらないようにしていることを「それでは本懐を遂げられないのでやります。」と、やっていくとこうなる、を体現。

顕在化している“色々”にしろ、そこを飛び越えて突き進んでやってしまうことにしろ、狂ってる。

狂ってるから、見たくもないし信じたくもないけど、必ずしもそれは起こり得ない、有り得ない、理解できないわけでもない、何ならここに出てくる“色々”は自分の身の回りにも近しいことがあったことがあるような、心が何かザワザワせずにはいられない作品だった。
matchypotter

matchypotter