ぴろぴろ

道のぴろぴろのレビュー・感想・評価

(1954年製作の映画)
4.5

午前10時の映画祭

失ってみて初めて気付く事。
乱暴者のザンパノと純真無垢で少女のようなジェルソミーナ。優しさの全くなかった凶暴なザンパノが、ラストでジェルソミーナを想って初めて人間らしい感情を表す。
初めて観た学生の時に『道端に転がっている小石だって、必ず何かの役に立っている。この世に必要ないものなど何ひとつないんだ』というような台詞に感動したが、大人になって なお一層この作品の深さに気づかされた。淀川長治さんが絶賛されていたワケが少し分かった気がした。人として一番辛いのは、誰からも必要とされない、誰からも想ってもらえない孤独感ではないだろうか。こんなちっぽけな存在でしかない自分でも、誰かに必要とされ、自分を肯定してもらえるだけで生きて行けるような強さをもらえる。
そして、学生の時には乱暴者にしか見えなかったザンパノの不器用さや、ジェルソミーナの芯の強さと賢さ、人間の業や儚さ、手の中にある時は気付かなくて、失って初めて気付く事。目の前にいる時に優しく出来たり、感謝出来たら良かったのに。
あのラストシーン。学生時代は自業自得と感じたが、年月を経て色んな感情が浮かんだ。
観る年齢や男女差、その時々で、想うところ感じるモノが有るのではないだろうか。 繰り返し観たいと思える映画だ。
ジェルソミーナはフェリーニ監督の奥様。
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