綾

道の綾のレビュー・感想・評価

(1954年製作の映画)
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ジェルソミーナは、身勝手な男たちの卑しい理想像にも見えるし、もっとずっと高尚な、誰かを愛することの真実を示した天使にも見える。そのどちらなのか、私にはまだ判断がつかない。

あらすじを読んで、なぜか『二十日鼠と人間』を思い浮かべたのだけれど、
私には、二十日鼠〜でジョージからレニーに向けられた愛情の半分も、ザンパノから(ジェルソミーナへ)は感じられなかった。
私がまだ若く、人生経験が浅いからかな。物事を表面的にしか見られていないだけ?
だからあのラストシーンも、胸を打つまでには至らなかった。失ってから気づくとはあまりに身勝手に思えてしまう。ザンパノの場合は、特に。印象的で忘れられそうもないシーンだけれど…

他の方のレビューに「キリスト教色が強い」と書かれていて、あぁ…と思った。
ジェルソミーナの献身は、DV浮気男の理想でも、愛の真実でもなく、イエスキリストの仮の姿なのかもしれない。

うーん、深い。
深すぎて、正直まだよく分からない。

年を重ねて観直したい(=悔しいけれど今の私にはその真髄が見えてこない)映画が増えてしまった。嬉しい。世界はまだまだ分からないことだらけだ。

何にせよ、小石にも立派な役目があった訳だなぁと泣きそうになっています。
綾