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紅の豚のhitomaのレビュー・感想・評価

紅の豚(1992年製作の映画)
4.8
宮崎駿がその趣味を余すところなく注ぎ込んだ道楽アニメーション。その名に恥じぬカッコよさ。少々やり過ぎなのではないかと思えるほどにキザだけれど、これはアニメーションだから上手くはまっていて許される。実写でやったらかっこ悪いと思う。子供の頃から好きなジブリ映画だったけれど、自分が歳を重ねて、仕事や恋愛や家族など人並みに人生経験を積んでいく毎にその気持ちは増していく気がする。登場人物はみんな人間味溢れていて深みがあって、マンマユートボスでさえ好きになれる。飛行艇なら飛行場も必要なく、海と空があれば何処まででも自由に飛んでいく事が出来る。そんなロマンが詰まってる。

千と千尋の神隠し以後、宮崎駿は自身の大衆性が下がっている事を自覚し、単純な起承転結のストーリーから一気に奇をてらった作風に転換していく。作家が作家性を追い求めるその気持ちは大いに分かるのだけれど、宮崎駿が凄いのはやはり、そうした作家性を追い求めた作品を発表する一方で、こうした傑作大衆アニメーションも作ってしまえた事だと思う。王道を作れるからこそ王道を外せるものだと思う。
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