ハル

耳をすませばのハルのレビュー・感想・評価

耳をすませば(1995年製作の映画)
4.3
子供の頃鑑賞したにも関わらず、いまだ最も印象に残る作品。
再放送がある度に見てしまう。
将来への期待と不安が入り交じり、多感な時期の心情が繊細に描かれていて、素朴な日常と音楽のハーモニーも心地良く。

ジブリで一番好きな映画。
甘酸っぱさだけではなく、未来への道を歩むために厳しい決断をしていく雫と誠司の様子。
深い心理描写に加え、解き放たれる熱き想い。
宮崎駿監督には珍しい王道ラブストーリーという点も秀逸。

夢を追いかける聖司と悩みもがき葛藤する雫、それにファンタジー要素を加味した素敵な音楽隊。
宝石箱のようなワクワク胸躍る要素が作中全体に散りばめられている。

また、それぞれ家族との会話シーンが温かくも心に刺さる。
両親との対立や考え方のぶつかり合いなど、子供が大人に歩む過程で大切な要素が沢山詰め込まれていた。
お父さんが雫にかけた言葉
「人と違う生き方はしんどいぞ、誰にも言い訳できないからね」は切に娘を思う親心が伝えたモノで、厳しさの中の愛情深さが尊く…ついホロリとしてしまう。

『耳をすませば』は“ジブリが本気で恋愛映画を作ったらこうなるよ!”という凄味すら感じさせる傑作。
鑑賞後、数十年経ったいまでも深く心に留まり続け、時を超える名作の素晴らしさに酔いしれよう。
昔を懐かしみ、若者の可能性が羨ましくもなる淡い時間やシーンの数々。
大人になってから見返しても、色褪せず沁み渡るSpecialな一作。
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