ふぇりな

ウィッカーマンのふぇりなのレビュー・感想・評価

ウィッカーマン(1973年製作の映画)
4.0
ミッドサ○ーの某監督が元ネタにしたと聞いてずっと気になっていましたが、やっと観られました。想像以上に面白くてびっくりです!こんなの当時観た人ならもっと衝撃受けたのでは!?私だったら耐えられずに最後のダンス踊ってたよね(は?)。

全体的な質感として、予想とは裏腹に、ホラーやサスペンスといった雰囲気はあまりなく、むしろドキュメンタリーやヒューマンドラマのような雰囲気が感じられたのは私だけでしょうか。もちろん不穏な気配はずっとしているし、怪しいことしかないのですが、風景だったり音楽だったり街の人の(表向きの)対応だったりが穏やかでノスタルジックでこちらの気持ちまで油断させてきます。そこからの怒涛のラストシーン、今まで傍観していたはずの主人公も私たち観客も、急激に迫り来る狂気に気付いた時にはもう逃れられない…全員の演技が素晴らしく、おそらく一生忘れられない最後になったと思います。

主人公は敬虔なキリスト教徒ですが、宗教に馴染みがない日本人が主人公だったら感じ方や見え方も大きく変わるんだろうな…と考えていたら、その点がかなり重要な軸になっていて納得しました。ある意味では、ありとあらゆる神々に対する挑戦的な否定を描いた作品でもあると思います。なにか信仰するものがある人であればあるほど恐ろしく感じるでしょう。宗教という存在に否定的でありながら、モチーフとしての宗教は好き、という私からすると、やっぱり狂信している人はみんな怖いなとも感じましたが、なにか縋るものがあるってのは幸せだよなとも思いました。

サマーアイル島、実在しないか思わず検索してしまいました。ウィッカーマン自体は実在していたようで、人間と宗教の面白さと怖さを実感しました…。愚か者にはなりたくないですね。
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