スカポンタンバイク

ウィッカーマンのスカポンタンバイクのレビュー・感想・評価

ウィッカーマン(1973年製作の映画)
4.3
ようやく観た。
レンタルショップに行っても、基本ニコラス・ケイジ版の評判の良くない方しかなく、長らく観れていなかったが、ようやく観た。
「ミッドサマー」「ホットファズ」が影響を受けている事がストレートに分かりすぎるくらい「あー、おんなじやん」と思った。あと、マーティン・スコセッシの「シャッター・アイランド」もこれなのかなぁと思った。
ただ、オリジナルの今作が特に良かったのが、主人公のハウイーもサマーアイル島の人々もそんなに差がないという事。ハウイーは結果的にサマーアイルの土俗の宗教の生贄として祭り上げられるわけだが、それまではキリスト教の原理を島民に押し付ける嫌な奴として描かれている。これは正に歴史的にキリスト教が世界の土俗の宗教を異端として、彼らの神々を悪魔・魔女とした行為に等しい。そういった所で、ハウイー自身もキリスト教的に正しい人かもしれないが、無心論者からしたら十分どうかしている人なのだ。
ハウイーも島民も、それぞれがそれぞれの神が自分たちを救ってくれるという世界観を持っていて、それが今回は島民が勝利するという結果に終わる。しかし、結局の所、勝利した島民に未来があるのかといえば、ないだろう。でも、きっとそれさえも神の定めた運命として肯定的に受け入れるのだろう。だとするなら、結局その心理は、キリスト教の終末論となんら変わらない。
宗教というのは、等しくどっちもどっちで、愚かである事を描いた傑作だと思った。