一人旅

マカロニの一人旅のレビュー・感想・評価

マカロニ(1985年製作の映画)
5.0
エットレ・スコーラ監督作。

ナポリを舞台に、40年ぶりに再会した初老のアメリカ人ロバートとイタリア人アントニオの交流を描いたドラマ。
始めはアントニオに対し邪険な態度を取っていたロバートだが、過去の記憶やアントニオの人柄に触れるうちに意気投合していく。お酒に酔っぱらってふざけてみたり、二人揃ってクリームを口元にべったり付けたりと、童心に返るように無邪気に過ごすロバートとアントニオの姿に心が和む。物語自体はベタだが、ジャック・レモンとマルチェロ・マストロヤンニの奇跡的な組み合わせが魅力的で、世界を代表する名優による自然体で伸び伸びとした演技が素晴らしい。
二人の性格は対照的で、ロバートはどちらかと言うと感情の乏しい堅物であるのに対し、アントニオはイタリア人らしい陽気さのあるお調子者タイプ。性格のまるで異なる二人が徐々に友情を深めていく様子は観ていて居心地がいい。終盤に用意された映画的展開によって、自身の地位と友情を天秤に掛けた末に最終的な決断を下すロバートの姿は感動的であり、それと同時に流れ始める劇的な音楽が差し迫った場面にぴったり合っている。
そして、ナポリという舞台を存分に活かした映像が素晴らしい。観光名所の卵城やナポリを象徴する狭く入り組んだ路地、忙しく行き交う人々のエネルギーが充満しているし、上方からナポリの中心市街地を一望する場面の美しさには思わず息をのむ。
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