クロ

クレールの膝のクロのレビュー・感想・評価

クレールの膝(1970年製作の映画)
4.2
セザンヌの色合いを思わせる山々に囲まれた湖畔の短い夏の日々。木、水、舟、空、風、白い日差し。ターナーの淡いタッチのような曖昧な輪郭に人々もまた溶けてゆく。

壮年の男と思春期の姉妹の戯れに通うとりとめのない欲望の流れ。ひとすじは妹から湧き、男をとらえ、草萌える山あいを抜け空へと消えていった。もうひとすじは男が姉の膝小僧を撫でた時に雨に流され湖へと注いだ。

絶え間ないおしゃべりはひばりのさえずりのように、節度をもって、滑稽に、恥じらい、語らず、うたう。

監督の作品の鑑賞三作目にして、好事家の主人公など感情移入しづらい人を配置するのはあざとい監督の采配のようにも思われてきました。絵を見たり音楽を聞くように、奇特な性癖すら引いてみるとそれも絵筆のひと振りに見える、今回は結構作品を楽しめました。
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