このレビューはネタバレを含みます
【 ピンチはチャンス 】
落ち込んでいるときに効く1本だと思います。
仕事を失い愛する彼女を失い、絶望に明け暮れるひとりの男の話です。
絶望から立ち直るためのヒントが散りばめられています。寝たり食べたり話したり、巷ではいろいろな解決策が例として挙げられています(本作も例外ではありません)。
しかし究極、たったのひとつだったのです。それはズバリ…。
・恋をする
本当に好きな人と過ごす時間は、全ての状況を凌駕・超越して“幸せな世界”にアクセスできます。とりわけ主人公ジェーンが終始落ち込んでいる最中、好きな人リサの声を聞いたり姿を見たりするだけでパァッと弾ける笑顔を見せるのがその大きな証拠です。あぁ、やはり本当に好きな人の存在は偉大なのだなと感じました。
先に「“本当に”好きな人」と書いたのは、相手が偽りの好きな人であれば“偽りの幸せ”が待っているということをこの作品が教えてくれたからです。
もうひとりの絶望者リサ(ジェーンの意中の人)は、失意のため正常な判断ができていない状況でした。あっちへウロウロこっちへウロウロと、ふたりの男たちの間を行き来し、モヤモヤする日々を送っていました。最後はジェーンの元へ行き、スッキリ幸せを掴み取ったところで物語が終わります。
作中のカウンセラーが口にした「自らの心に正直に」という言葉のとおり、絶望的な状況だとしても正しく自らの心に従って生き続けることが必要なようです。
またリサの友人の「失意のときに大きな決断は危険よ」という言葉も見事に的を得た表現だと思います。教訓になります。
絶望しているときは何もかもうまくいかない(と感じる)ものです。
しかし、悲しみのあとには嬉しいことが待っているものです。
「幸せも倍増する」
リサが発した言葉です。辛いことがあっても、きちんと事実を受け入れ、正しく生きてさえいれば状況は好転するのだと思います。それも複利がついた大きな幸せが待っています。
「ひとつのきっかけで人生は回る」
ジェーンが発した言葉です。蓋を開けてみれば見ず知らずの彼女リサにかけた一本の電話が幸せのタネでした。すべては繋がっていたのです。
絶望同士のふたりが同じ状況で出逢い、恋に落ちる。絶望とは幸せのタネでした。
そして幸せの始まりはいつも絶望でした。